【オアフ島】ひっそりとオープンしています
ミニマリズムな素敵空間で、まるでアートのような化学のような創作料理を出すレストラン「Yamada Chikara」が、6月5日にひっそりとオープンしました。場所はピイコイ・ストリート。一力の並びで、幸の鳥が以前あった場所です。看板も小さく、黒い壁になったので、ほとんど目立ちません。入り口の右側には看板、左側にはメニューが出ていました。
黒い壁の向こう側に足を踏み入れると、ピイコイ・ストリートの喧騒が一瞬止まったような気がします。
ドアの前に立って、びっくりしました。「ノブがない、どうしよう。秘密クラブ系なのかしら」と焦ってしまいましたが、よく見ると縦に走る黒い出っ張りを手前に引けばいいだけのこと。
レストランに入ると、にじり口のあるお茶席が右側にあります。そして、デザート後にお茶をいただくお茶カウンターがあり、奥にカウンター席とテーブル席。ダークなフロアーに木目調をアクセントにしたインテリアで、音のない静けさの中、とても落ち着きます。
シェフの山田チカラさんは、静岡県出身で日本で料理の基本を学んだ後、ヨーロッパに渡って修行、若くしてバルセロナで2軒のレストランをオープンするも売却。その後、世界で一番予約が取れないレストランとして有名だった、カタルーニャ州のエル・ブジのフェラン・アドリア氏の元で働いたという実力派シェフです。フェラン・アドリア氏は、亜酸化窒素を使って、さまざまな食材をムースのような泡状にする調理法「エスプーマ」を考案たシェフとして有名です。日本のレストランで、エスプーマ調理法が広まったのは、山田シェフのおかげによるところが大きいようです。現在、東京元麻布とニューヨークのミッドタウンイーストに、山田シェフの名前を店名にした店があります。
メニューはおまかせのみですが、選択肢がいくつかあります。下記は今のメニューですが、今後は3ヶ月に一度メニューが変わるそうです。
- 本日のおしのぎ(ご飯の選択肢あり)
- カクテル
- 前菜(6品から2品選択)
- 冷温前菜
- メイン(5品から1品選択)
- お食事(4品から1品選択)
- デザート(3品から1品選択)
- お茶(4品から1品選択)
選択するメニューによっては、追加料金が発生することもありますが、全てiPadで出てくるメニューに明記されています。
【本日のおしのぎ】キャビア御飯、味噌汁 胡麻豆腐、本日の向付け
懐石料理では先付の後に出されて、「空腹を凌ぐ」という意味合いから、炭水化物などの腹持ちの良い食材で工夫した料理を「おしのぎ」と呼びます。最初にご飯が出てきて、少し驚きましたが、お腹をすかしてお店に行ったので、ちょうど良かったです。最初にこういうお料理を食べると、空腹状態でいきなりアルコールを飲むこともないので、酔っ払うこともなく、理にかなっています。
白米のみかキャビア御飯かの選択があったので、キャビア御飯にしました。ずっと昔に、仕事でモスクワにちょくちょく行くことがあって、ブラックマーケットで買ったキャビアをスプーンですくって食べていたバブルな時代を思い出しながら食べたキャビア御飯は、キャビアの塩味とご飯がよく合っていて、キャビアとご飯のバランスもちょうど良かったです。お味噌汁は、胡麻豆腐の入ったほんのり甘い白味噌。胡麻豆腐は、上にのった辛子と一緒にいただきますが、胡麻の風味は強くなかったです。本日の向付けは、お野菜に隠れて見えませんが、湯通しした牡蠣。ポン酢は自家製ポン酢です。湯通ししているので、牡蠣の臭みが苦手な人も食べやすいかと思います。
【カクテル】自家製オリーブ
自家製と言っても、家の庭で採れたオリーブではなく、分子ガストロノミーに則ってジュレにしたオリーブで、とっても柔らかく風味豊かです。
【カクテル】スイカのガスパチョ
ガスパチョは大好きで、夏によく食べるのですが、スイカのガスパチョは初めてでした。が、思っていたほど甘くなく、さっぱりとしたお味でした。
【前菜】トリュフのビシソワーズ
6品の前菜の中から最初に選んだのは、ガスパチョと同じくらい好きなビシソワーズ。つまり、冷製スープが好きな訳なのですが、冷たいビシソワーズの上にのったトリュフは、芳香高くという訳ではありませんでした。トリュフは温かいお料理と一緒にいただくのがいいようです。ビシソワーズはあっさりとしていて、きめ細やかな舌触りでした。
【前菜】スパニッシュオムレツ
そして、6品の前菜の中から迷わずに選んだのは、山田シェフのシグニチャーディッシュでもある「スパニッシュオムレツ」です。あ、この写真、間違っていませんよ。これが、山田シェフの「スパニッシュオムレツ」なんです。写真では、見にくいのですが、グラスの一番下には飴色に炒めた玉ねぎ、真ん中にはジャガイモのエスプーマ、一番上には卵を泡立てて、サマートリュフがのっています。これをしっかりと混ぜ合わせていただくのですが、玉ねぎの甘さが全体に回り、ジャガイモの重さを感じることなく風味を楽しみ、軽い卵とサマートリュフの香りと一緒にいただく「スパニッシュオムレツ」は、食べる直前に混ぜることで、出来立て感があります。まるで自分で調理したような錯覚さえ覚えました。
【前菜】トマトとボタンエビのカッペリーニ
友人が選んだ前菜です。夏にぴったりのトマトのカッペリーニにほとんど生状態で、お寿司にしても絶対美味しいと思われるボタンエビが入っていました。王道とも思われるトマトのほのかな酸味とボタンエビの甘みが新鮮な一品でした。
【冷温前菜】キノア
かれこれ9品いただきながら、まだ前菜です。その上、冷たい前菜と温かい前菜が同じ器の中に。そして、メニューではキノアと謳いながら、それらしいものはなく。。。一体どうなっているのかと、きな粉のようなものをいただくと、絶対知っている味で、大好きな味なのですが、全く何なのかわかりませんでした。正体は、液体窒素で凍らせたフォアグラと味噌を砕いたもの。そして、目の前で温かいコンソメスープを入れてもらいます。冷たいお料理と温かいお料理を一緒に味わう一品です。私が、世界で一番大好きだといつも豪語しているフォアグラなのに、ここまで食感が変わるとあまりに別物で、「美味しくて知ってる味。なになに?」と頭の中には大きな「?」マークがぐるぐるしていました。
【メイン】フォアグラの照り焼き
メインには、世界で一番大好きなフォアグラの照り焼きを迷わず選びました。付け合わせには、フィンガリング・ポテトのソテーです。しっかりとした歯ごたえのポテトも美味しいのですが、美味しい白米の上にのせて丼にしたいと思った瞬間、自分のルーツが見えました。写真左奥のお出汁で煮たお野菜は、ピクルスとは違った、さっぱりといただける優しいお味の箸休めでした。
【お食事】和風オムライス
「鯛ご飯のオムライスです」と説明をしてもらったので、鯛の混ぜご飯かと思ったら、しっかりと切り身が入っていました。なかなかどっしりとしたシメのご飯です。
【お食事】明太うどん
友人が頼んだ明太うどんは、細めのおうどんに明太子とジャガイモとクリームを和えたソースでいただきます。少し味見させてもらいましたが、ピリッとした辛さで、冷たい細いおうどんがツルツルと胃の中に入っていきます。
【デザート】クレームブリュレとキャラメルアイス
かなりお腹いっぱいなのですが、デザートは別腹で。友人は、焙じ茶テラミスと焙じ茶アイスを頼んだのですが、私が少し席を外している間に、飲み込んだのかと思うほどの早さで全部食べてしまいましたので、写真はありません。
【お茶】山田屋 やぶきた緑茶
ヨーロッパ式に食後の飲み物はデザート終了後です。お茶カウンターに席を移して、お茶を入れていただきました。シェフのご実家が、お茶農家ということで、こだわりを感じるお茶です。麦茶、緑茶、抹茶、焙じ茶の中から選びます。麦茶は冷たく、抹茶は暖かく、緑茶と焙じ茶は冷たいお茶か温かいお茶か選ぶことができるという凝りようです。
スペインの有名一流シェフの元で料理を学んで日本に帰り、普通にスペイン料理レストランを始めるのではなく、それまで培ったものを融合(フュージョン)させることによってたどり着いた創作(フュージョン)料理。そこには、外国に住んだからこそ見えた日本が見え隠れしています。私は、あまり奇をてらったお料理は好きではないのですが、料理界の化学「分子ガストロノミー」がここまでくると宇宙食というか、100年後のお料理というか、怖いもの見たさでとことん味わってみたいような気がします。
山田チカラ
Yamada Chikara
住所:514 Piikoi Street, Honolulu, HI 96814
電話番号:808-592-8500
Email: info@yamadachikara-hi.com
URL: www.yamadachikara-hnl.com
こういうお店は教えてもらわないと、分からないので参考になります(^^♪
コメントありがとうございます。
そうですね、まだガイドブック等には掲載されていないようです。
最近、ワイキキに「Paris.Hawaii」というハワイの食材を使ったフランス料理のレストランができました。昨日行ってきましたので、2~3日中にブログを書きますね。
よろしくお願いします(^.^)
👍