【オアフ島】草間彌生の「I’m Here, but Nothing」
1895年からヴェネツィアで2年毎(イタリア語で「ビエンナーレ」)に開催されている現代美術の国際美術展覧会「ビエンナーレ」が、世界各地で開催されるようになり、今年初めてホノルルでも「ホノルル・ビエンナーレ(英語ではバイエニアル)2017」が開催されています。メイン会場は、ワードエリアの以前スポーツオーソリティがあった場所。それ以外にもホノルル美術館、IBMビル、ホノルル市庁舎、フォスター植物園、ビショップ博物館、プリンス・ワイキキ、シャングリ・ラと、ホノルルの各地での開催となっています。
先月、メイン会場のザ・ハブ、そしてIBMビルでの草間彌生の「I’m Here, but Nothing」の展示を見てきました。私が初めて実際に見た草間彌生の作品は、昨年ホノルル・ビエンナーレのプレビューとしてIBMビルの中庭に展示されていた「Footprints of Life」でした。
現代美術にイマイチ疎い私には「?」の作品でした。児童公園の遊具にもなりそうなショッキングピンクの物体に黒い水玉が現代美術なんだ、と自分に言い聞かせて家路についたことを覚えています。
次に見た作品は、アラモアナ・センターのブルーミングデールズ前の「Pumpkin(南瓜)」。
巨大カボチャのディフォルメ・オブジェに、草間彌生の永遠のテーマの水玉をあしらった作品は、なんとなく微笑ましくてアラモアナ・センターに行く度に写真を撮っています。
1929年に長野県で生まれた草間弥生は、幼い頃から幻覚や幻聴から逃れるために、その幻覚や幻聴をモチーフに作品を創り上げています。50年代にニューヨークに渡り、60年代には「前衛芸術の女王」とも呼ばれるようになったそうです。今回のホノルル・ビエナーレでは、「I’m Here, but Nothing」の展示がありました。
この部屋に一歩踏み入れた瞬間、透明プラスチックの壁があるのではない、何かにぶつかるのではないかという恐怖にさらされて、足がすくみました。ガイドさんから「これが草間彌生が見ている世界なんですよ」と説明を受けました。紫外線ライトで照らされた蛍光色の水玉ステッカーがチカチカしますが、しばらく居ると、ずっとどこかに吸い込まれてしまいそうな、かつどこか静寂で、禅さえも感じるような不思議な空間でした。
「I’m Here, but Nothing」を見てから、今まで見た「Footprints of Life」や「Pumpkin(南瓜)」を少し理解できたような気がします。こういう空間に生きて、こういう風に空間を見ているいる人もいるんだと驚きました。私自身、彼女の現代芸術を理解しているとは思えませんが、「I’m Here, but Nothing」を通して、彼女が見ている世界を見て、少しだけ彼女の作品を体験できたような気がしました。そして、世の中には、いろいろな見方をして、いろいろに生きている人がいることを教えてくれた草間彌生に感謝です。
今年のホノルル・ビエンナーレは5月8日(月)まで。IMBビルの展示は無料ですし、ワードには駐車場もたくさんあるのでお薦めです。今年初回だったホノルル・ビエンナーレ、2年毎の開催予定の筈なので、次回は2019年ですね。尻切れトンボにならないで、ぜひ開催してもらいたいものです。
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ホノルル・ビエンナーレ2017
http://www.honolulubiennial.org
2017年3月8日〜5月8日
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